開業前に整える就業規則の作り方|雇用契約・シフト・休暇ルール

「スタッフを雇って美容室を開業するけれど、就業規則って作らないとダメ?」──開業準備を進める中で多くのオーナーが直面する悩みです。就業規則は常時10人以上を雇う場合に法律上の作成義務がありますが、それ未満でも作っておくことで労務トラブルの予防や、スタッフに安心して働いてもらう基盤づくりに直結します。

本記事では、美容室の就業規則の作り方を、作成義務・雇用契約書との違い・記載事項・シフト設計・休暇制度・給与規定・懲戒ルール・作成手順まで、年間108店舗の支援実績から実務目線でお伝えします。

美容室で就業規則はなぜ必要か?

ポイントは3個:
① 労務トラブルの予防
② 職場ルールの明文化
③ スタッフの安心感

美容室で就業規則が必要な理由は、労務トラブルの予防・職場ルールの明文化・スタッフの安心感の3つです。就業規則は事業所内での労働条件やルールを文書化したもので、勤務時間・給与・休日・退職などの基本条件を明確にすることで、スタッフとの認識のズレを予防できます。「言った・言わない」のトラブルを避け、労働基準法に準拠した運営ができる基盤にもなります。スタッフにとっても、勤務条件が明文化されていることで安心して働ける環境になり、採用競争力にも直結します。年間108店舗の開業をサポートしてきた経験から言えるのは、就業規則を丁寧に整備したサロンほど、スタッフの定着率が高い傾向があるという点で、開業前の準備が重要です。

就業規則がある3つのメリット

① トラブル予防:ルールが明文化され認識ズレを防止/② 労基法準拠:法令違反のリスクを回避/③ 採用競争力:条件が明確で応募者に安心感を提供

就業規則の作成義務はどうなっているか?

ポイントは3個:
① 10人以上で作成義務
② 労基署への届出
③ 10人未満でも推奨

就業規則の作成義務は、常時10人以上のスタッフを雇用する事業所に法律上義務付けられています。「常時10人以上」にはパートやアルバイトも含まれ、業務委託は含まれません。作成した就業規則は所轄の労働基準監督署への届出も必要です。10人未満の事業所は法律上の作成義務はありませんが、労務トラブル予防の観点から作成することが強く推奨されます。少人数の美容室でも就業規則があることで、勤務条件を明確にでき、スタッフとのコミュニケーションがスムーズになります。多くのケースで共通しているのは、開業当初は数名でも将来的な拡大を見据えて就業規則を作成しておくパターンで、段階的な整備が重要です。

就業規則と雇用契約書の違いは?

ポイントは3個:
① 就業規則は全体ルール
② 雇用契約は個別条件
③ 両方セットで運用

就業規則と雇用契約書は、役割が明確に異なります。就業規則は事業所全体に適用される共通ルールを定めた文書で、勤務時間・休日・給与体系・懲戒などの職場全体の基準を規定します。一方、雇用契約書はスタッフ個人ごとに交わす契約で、その人固有の勤務条件(時給額・勤務日・雇用期間など)を明記します。就業規則で「一般ルール」を定め、雇用契約書で「個別条件」を明記する二層構造が基本です。両方をセットで運用することで、事業所全体の統一感を保ちつつ個別の状況にも対応できます。支援の中で気づいたのは、両方を整備したサロンほど労務トラブルへの対応力が高い傾向があるという点です。

就業規則と雇用契約書の比較

項目 就業規則 雇用契約書
適用範囲 事業所全体 スタッフ個人
内容 共通ルール・全体基準 個別条件・具体的な労働条件
作成義務 常時10人以上で必須 全ての雇用で必須
届出 労基署へ届出必要 届出不要

就業規則の記載事項は何か?

ポイントは3個:
① 絶対的必要記載事項
② 相対的必要記載事項
③ 任意記載事項

就業規則の記載事項は、絶対的必要記載事項・相対的必要記載事項・任意記載事項の3つに分類されます。絶対的必要記載事項は必ず記載する項目で、始業/終業時刻・休憩・休日・休暇・賃金の決定と支払方法・退職に関する事項が含まれます。相対的必要記載事項は、その事業所で定めをする場合に記載する項目で、退職金・賞与・食費や作業用品の負担・安全衛生・災害補償などが含まれます。任意記載事項はサロンの理念や服務規律など、自由に記載できる項目です。多くのケースで共通しているのは、これらを網羅した就業規則が事業所の労務基盤になるパターンで、包括的な記載が重要です。

シフト・勤務時間のルールはどう決めるか?

ポイントは3個:
① 始業/終業時刻の明記
② 休憩時間の設定
③ シフト制の運用

シフト・勤務時間のルールは、始業/終業時刻の明記・休憩時間の設定・シフト制の運用の3つで整理します。始業/終業時刻は、営業時間と準備/片付け時間を含めた設定にします。休憩時間は労働時間6〜8時間なら45分以上、8時間超なら1時間以上の付与が労働基準法で定められています。シフト制の場合は、シフト表の作成・変更ルール、希望休の提出期限、時間外労働の扱いなども明記します。美容室では顧客予約に応じたシフト調整が必要になるため、柔軟性を持たせつつスタッフの権利も守る設計が重要です。年間108店舗の開業をサポートしてきた経験から言えるのは、シフトルールが明確なサロンほど、スタッフの働きやすさが高い傾向があるという点です。

休暇制度はどう設計するか?

ポイントは3個:
① 有給休暇の付与
② 特別休暇の設定
③ 取得ルールの明文化

休暇制度は、有給休暇の付与・特別休暇の設定・取得ルールの明文化の3つで設計します。有給休暇は労働基準法で、雇用開始から6ヶ月経過し出勤率8割以上のスタッフに10日以上の付与が義務付けられています。年5日は使用者が時季を指定して取得させる義務もあります。特別休暇(慶弔休暇・生理休暇など)はサロン独自の設定が可能で、スタッフの働きやすさに直結します。取得ルール(申請方法・期限・シフトへの反映)も明文化しておくと、運用がスムーズです。多くのケースで共通しているのは、休暇制度が充実したサロンほど、スタッフの定着率が高く採用競争力も上がるパターンです。融資・物件・内装・集客のコミュニティで休暇制度の設計事例を情報交換できます。

給与規定はどう記載するか?

ポイントは3個:
① 基本給と歩合
② 各種手当
③ 支払方法と締日

給与規定は、基本給と歩合・各種手当・支払方法と締日の3つで構成します。美容業界では基本給+歩合制(売上の30〜50%程度)が一般的で、就業規則には歩合の計算方法(何を基準にするか)を明確に記載します。各種手当(通勤手当・技術手当・役職手当・住宅手当など)の支給条件も規定します。給与の締日と支払日、支払方法(振込・現金)、控除項目(社会保険料・所得税・住民税)なども明記します。年間108店舗の開業をサポートしてきた経験から言えるのは、給与規定が透明なサロンほど、スタッフの信頼を得やすい傾向があるという点で、明確な記載が重要です。

懲戒・制裁のルールはどう決めるか?

ポイントは3個:
① 懲戒の種類を明記
② 対象行為の明示
③ 公正な運用体制

懲戒・制裁のルールは、懲戒の種類を明記・対象行為の明示・公正な運用体制の3つで設計します。懲戒の種類は、譴責(けんせき)・減給・出勤停止・降格・懲戒解雇などの段階的なものを設定します。対象行為(無断欠勤・遅刻常習・機密漏洩・ハラスメント・重大な業務命令違反など)を具体的に列挙します。運用は「本人への弁明機会の付与」「懲戒委員会での検討」など、公正性を担保する手順も明文化します。懲戒規定は事業運営に必要な一方、労働トラブルの温床にもなりやすいため、社会保険労務士や弁護士のチェックを受けることが安全です。多くのケースで共通しているのは、懲戒規定を丁寧に整備したサロンほど、労務トラブルへの対応力が高いパターンです。

開業前の就業規則作成の手順は?

ポイントは3個:
① 雛形の入手と検討
② サロンの実態に修正
③ 社労士のチェック

開業前の就業規則作成の手順は、雛形の入手と検討・サロンの実態に修正・社労士のチェックの3ステップで進めます。厚生労働省が公開している「モデル就業規則」を出発点として活用できます。ダウンロードして各条項を確認し、自分のサロンの実態(営業時間・スタッフ数・給与体系など)に合わせて修正します。修正後は社会保険労務士に内容チェックを依頼するのが安全です。就業規則は開業と同時に運用開始することが理想で、遅くとも初回のスタッフ雇用時までに準備しておく必要があります。事業計画書作成支援と並行して就業規則も整備しておくと、開業準備がスムーズです。

  1. STEP 1:モデル就業規則の入手
    厚生労働省のモデル就業規則をダウンロードします。
  2. STEP 2:サロン実態への修正
    営業時間・給与・シフト等を自サロンの実態に合わせます。
  3. STEP 3:社労士チェック
    社会保険労務士に内容チェックを依頼します。
  4. STEP 4:スタッフへの周知
    全スタッフに就業規則の内容を周知します。
  5. STEP 5:労基署への届出
    10人以上を雇う場合は労働基準監督署に届出します。

社会保険労務士に依頼するメリットは?

ポイントは3個:
① 法令準拠の確保
② トラブル対応力
③ 労務相談窓口

社会保険労務士(社労士)に就業規則の作成/チェックを依頼するメリットは、法令準拠の確保・トラブル対応力・労務相談窓口の3つです。労働基準法・労働契約法などの改正に対応した最新の内容で作成でき、労務トラブル発生時にも一貫した対応が可能です。継続的な顧問契約を結ぶと、労務相談・給与計算・社会保険手続きなども依頼できます。費用は就業規則作成だけで10〜30万円、顧問契約なら月2〜5万円が相場です。多くのケースで共通しているのは、スタッフ雇用型のサロンは社労士との顧問契約を結ぶパターンで、労務体制の整備に役立ちます。

就業規則の作成に関するよくある質問は?

ポイントは2個:
① モデル就業規則を活用
② 社労士チェックが安全
Q1. 就業規則はスタッフが少なくても必要ですか?
A. 常時10人未満は法律上の義務はありませんが、トラブル予防やスタッフの安心感のために作成を強くおすすめします。
Q2. 就業規則を変更する場合はどうしますか?
A. スタッフ代表者の意見を聞き、変更後の内容をスタッフに周知します。10人以上の事業所は労基署への変更届も必要です。
Q3. パート・アルバイトの就業規則は別に必要ですか?
A. 正社員と条件が異なる場合、パート用の就業規則を別途作成するのが一般的です。共通ルールと個別ルールを分けます。
Q4. 業務委託契約の場合も就業規則は適用されますか?
A. 業務委託は雇用関係ではないため就業規則の対象外です。別途、業務委託契約書を作成して条件を明記します。
Q5. 就業規則の作成費用はいくらくらいですか?
A. 社労士に依頼する場合、10〜30万円が相場です。自作なら費用は抑えられますが、社労士のチェックだけでも受けると安全です。
Q6. 就業規則の周知はどのように行いますか?
A. サロン内の見やすい場所に掲示・書面配布・電子データでの共有などが基本です。スタッフがいつでも確認できる状態にします。
Q7. 開業前と開業後どちらで作成すべきですか?
A. 開業前の作成が理想です。初回のスタッフ雇用時に就業規則があれば、明確な条件で採用できトラブル予防にもなります。

まとめ|就業規則の作成で取るべき判断は何か?

  • ● 就業規則は常時10人以上の事業所で作成義務があります。
  • ● 10人未満でもトラブル予防のため作成が推奨されます。
  • ● 就業規則は全体ルール、雇用契約書は個別条件です。
  • ● 記載事項は絶対的・相対的・任意の3種類に分類されます。
  • ● シフト・休暇・給与・懲戒を丁寧に規定します。
  • ● 社労士のチェックを受けると安全です。

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