美容室の価格はどう決める?相場・原価・利益率から考える正しい方法

美容室の価格はどう決める?相場・原価・利益率から考える正しい方法

 

美容室の価格は、「相場に合わせる」「周りのお店を参考にする」といった決め方をしている方も多いのではないでしょうか。

しかし、その結果、忙しいのに売り上げが伸びない、思ったほど利益が残らないと悩むケースは少なくありません。

美容室の価格設定で本当に大切なのは、「いくらならお客様が来るか」ではなく、どれくらいの売り上げと利益を残したいかから逆算して考えることです。相場だけを基準にすると、原価や利益率が合わず、経営が苦しくなる原因にもなります。

この記事では、美容室の価格相場や原価、利益率の考え方を整理しながら、売り上げと利益を両立するための正しい価格設定の方法を解説します。

美容室の価格設定で失敗する人が多い理由

美容室の価格設定で失敗する人が多い理由

美容室の価格設定で失敗する一番の理由は、売り上げや利益から逆算せず、「相場ありき」で価格を決めてしまうことです。周りのお店と同じくらいの価格にしておけば安心、という考え方が、結果的に経営を苦しくしてしまいます。

美容室は、客数に限りがあるビジネスです。にもかかわらず、原価や固定費、理想とする働き方を考えないまま価格を決めてしまうと、忙しいのに利益が残らない状態に陥りやすくなります。

価格設定は集客のための手段ではなく、売り上げと利益を安定させるための経営判断です。

ここでは、美容室の価格設定でよくある失敗パターンを解説していきます。

「なんとなく相場」で価格を決めてしまう

美容室の価格設定で最も多い失敗が、周辺エリアの相場を見て、なんとなく同じ水準に合わせてしまうことです。

たしかに相場を把握すること自体は重要です。しかし、「近くの美容室がカット5,000円だからうちも5,000円」「少し安くすれば集客できるだろう」といった感覚的な決め方では、自店の経営状況と合わない価格になる可能性があります。

たとえば、家賃や材料費、人件費が周辺店舗より高い場合、同じ価格では利益が残りにくくなります。逆に、自分の強みや提供価値が明確なのに相場より安く設定してしまうと、本来得られるはずの売り上げを取りこぼしてしまいます。

相場はあくまで「参考情報」です。自店の原価構造や目標売り上げ、理想の働き方を考慮せずに価格を決めてしまうと、忙しいのに儲からない状態に陥りやすくなります。

価格設定は、周囲に合わせるものではなく、自店の経営設計に合わせて決めるものだという視点が欠かせません。

売り上げと価格の関係を理解していない

美容室の価格設定で失敗するもう一つの大きな理由は、売り上げと価格の関係を正しく理解していないことです。

美容室の売り上げは、「客数 × 客単価」で決まります。このうち価格は、客単価を直接左右する最も重要な要素です。

しかし、「まずは安くしてお客様を増やそう」と考えて価格を下げてしまうと、客数が多少増えても売り上げや利益が思うように伸びないことがあります。美容師一人が1日に担当できる人数には限界があるため、価格が低すぎると、忙しいのに売り上げが頭打ちになる構造に陥ってしまうのです。

反対に、適切な価格設定ができれば、同じ客数でも売り上げは大きく変わります。たとえば客単価が1,000円上がるだけで、月間の売り上げは数万円から十数万円単位で増えるケースもあります。価格は、集客の妨げになるリスクもある一方で、経営を安定させるための強力なレバーでもあるのです。

価格を「お客様が払える金額」としてだけ捉えるのではなく、「目標売り上げを達成するための設計要素」として考えることが、失敗しない価格設定の第一歩になります。

原価・固定費を把握せずにメニューを作っている

美容室の価格設定で見落とされがちなのが、原価や固定費を正確に把握しないままメニュー価格を決めてしまうことです。見た目の相場や感覚だけで価格を設定すると、実際にはほとんど利益が残っていない、という状態になりかねません。

美容室には、カラー剤やパーマ液などの材料費といった「変動費」だけでなく、家賃・水道光熱費・広告費・人件費などの「固定費」が毎月必ず発生します。これらを含めて考えなければ、本当の意味での利益は見えてきません。

たとえば、材料費だけを基準に価格を決めてしまうと、一見利益が出ているように見えても、固定費を差し引くとほとんど手元に残らないケースがあります。その結果、「売り上げはあるのにお金が残らない」という状況に陥ってしまいます。

区分 内容(定義) 具体例 価格設定でのポイント
原価(変動費) 施術するたびに増減する費用。
お客様が増えるほど基本的に増える。
・カラー剤/ブリーチ/パーマ液
・トリートメント商材
・シャンプー/スタイリング剤(施術使用分)
・使い捨て手袋/ペーパー類 など
「材料費が高いメニュー」は、相場に合わせるだけだと利益が薄くなりやすい。
メニューごとに原価の目安を持って価格に反映する。
固定費 売上の増減に関係なく毎月発生する費用。
売上が低い月ほど負担が重くなる。
・家賃/共益費
・水道光熱費/通信費
・広告費(ホットペッパー等)
・人件費(給与/社保/交通費)
・保険/リース/ローン/サブスク など
価格設定は「固定費を回収できる売上設計」になっているかが重要。
固定費が高いのに相場と同じ価格だと、忙しいのにお金が残らない状態になりやすい。

美容室の価格設定を決める前に知っておくべき基本構造

美容室の価格設定を決める前に知っておくべき基本構造

美容室の価格設定を考える前に理解しておくべきなのは、価格は単体で決めるものではなく、売り上げ・客数・コストと連動する経営構造の一部だということです。

価格だけを切り取って「高いか安いか」を考えてしまうと、本来見るべき全体像を見失ってしまいます。美容室の売り上げは「客数 × 客単価」で決まり、そこから原価や固定費を差し引いたものが利益になります。

この基本構造を理解せずに価格を決めると、忙しいのに利益が残らない、あるいは集客が不安定になるといった問題が起こりやすくなります。

ここからは、美容室経営の土台となる売り上げの仕組みと、価格がどのように利益へ影響するのかを整理していきます。

美容室の売上は「客数×客単価」で決まる

美容室の売上は、とてもシンプルな計算式で成り立っています。

売上 = 客数 × 客単価

どれだけ複雑に感じても、最終的にはこの掛け算です。価格設定は、この「客単価」を決める重要な要素になります。

たとえば、1日に担当できるお客様の人数には限界があります。一人美容室であれば、1日5〜8人程度が現実的な上限でしょう。つまり、客数には物理的な天井があるため、売上を伸ばすには「客単価」をどう設計するかが重要になります。

「まずは安くしてお客様を増やす」という戦略は、一見正しく見えます。しかし、客単価が低すぎると、どれだけ忙しくても売上は伸びません。その結果、長時間労働なのに利益が残らないという状態になりやすくなります。

反対に、適切な価格設定によって客単価を上げられれば、同じ客数でも売上は大きく変わります。価格は集客のためだけではなく、理想の売上と働き方を実現するための設計要素なのです。

パターン 1日の客数 客単価 月間売上(25日営業) 特徴
低単価型 8人 5,000円 1,000,000円 忙しいが体力的負担が大きい
適正単価型 6人 8,000円 1,200,000円 客数を抑えて売上確保
高単価型 5人 10,000円 1,250,000円 余裕を持った働き方が可能

価格設定は集客ではなく経営設計

価格設定を「集客のための手段」と考えてしまうと、安くすることが正解のように感じてしまいます。しかし本来、価格設定は集客テクニックではなく、経営をどう成り立たせるかを決める設計作業です。

確かに価格を下げれば、一時的に新規のお客様は増えるかもしれません。ですが、その価格で固定費や原価を回収できなければ、売り上げが増えても利益は残りません。結果として、忙しいのに資金に余裕がないという状態になりやすくなります。

美容室の経営は、「いくら売り上げたいのか」「どれくらいの時間働きたいのか」「どのくらいの利益を確保したいのか」といった設計が先にあり、その実現手段として価格があります。価格はゴールではなく、理想の経営状態をつくるための調整レバーです。

つまり、価格設定とは「お客様を呼ぶための数字」ではなく、理想の売り上げ・働き方・利益を実現するための経営戦略そのものなのです。

安い=集客できる、はもう通用しない理由

「価格を下げればお客様は増える」という考え方は、以前ほど通用しなくなっています。その理由は、お客様が価格だけで美容室を選ぶ時代ではなくなっているからです。

現在は、SNSや口コミサイト、Googleマップなどで簡単に情報を比較できる時代です。価格が安いことよりも、「自分に合っているか」「仕上がりの満足度は高いか」「雰囲気が合うか」といった価値が重視されます。単に安いだけでは選ばれ続ける理由になりにくいのです。

さらに、価格を下げると利益率が下がり、広告費や設備投資、サービス向上に使える資金も減ってしまいます。その結果、長期的にはサービスの質が維持できず、リピート率が下がるという悪循環に陥る可能性もあります。

また、美容師一人が対応できる人数には限界があります。価格を下げて客数を増やす戦略は、体力や時間を消耗しやすく、持続可能とは言えません。忙しさと引き換えに利益が減る構造になってしまいます。

美容室の価格相場はいくら?【メニュー別】

美容室の価格相場はいくら?【メニュー別】

美容室の価格相場は、地域や立地、ターゲット層によって幅がありますが、一般的な目安はある程度決まっています。カットはおおよそ4,000〜6,000円が中心で、都市部ではやや高めになる傾向があります。

カラーやパーマは6,000〜12,000円程度が多く、使用する薬剤や工程によって価格差が出やすいメニューです。縮毛矯正やブリーチなどの高単価メニューは、施術時間や技術難易度に応じて15,000円以上になることも珍しくありません。

まずは相場感を把握したうえで、自店の原価や利益率と照らし合わせながら価格を設計することが重要です。

結論:美容室の価格相場は、カットは4,000〜6,000円を中心に、カラーやパーマは内容(薬剤・工程・時間)によって幅が出やすいのが特徴です。
メニュー 相場(目安) 価格差が出る主な要因 補足(設定の考え方)
カット 4,000〜6,000円 指名価値/施術時間/立地 客単価の土台になるため、安売りしすぎに注意
カラー(全体) 6,000〜10,000円 薬剤グレード/塗布量/ロング料金/ダメージケア 原価が上がりやすいので、薬剤と工程で価格根拠を作る
ブリーチ 8,000〜18,000円 回数/施術時間/ケア剤/履歴修正の難易度 時間が伸びやすいので「回数・時間」で段階設計が鉄板
パーマ 8,000〜12,000円 工程数/薬剤/カット込みか/デザイン難易度 「カット込み/別」を明確にして比較されにくくする
縮毛矯正 15,000〜25,000円 髪の長さ/薬剤/アイロン工程/施術時間 高単価だが負荷も高いので、時間と技術価値で価格設計
トリートメント 3,000〜8,000円 種類(工程数)/持続期間/ホームケア有無 段階メニュー(松竹梅)にすると客単価が上がりやすい
ヘッドスパ 3,000〜7,000円 時間(20/30/45分)/施術内容/個室有無 時間別の価格設計が分かりやすく、提案もしやすい
補足:相場は都市部/郊外個人店/大型店指名比率サービス内容で変動します(この記事では目安として捉え、次章で原価・利益率から価格を設計する方法を解説します)。

原価から考える美容室の正しい価格設定方法

原価から価格を決める最大のメリットは、「忙しいのに利益が残らない」を防げることです。

美容室はメニューによって材料費や施術時間が大きく異なり、相場に合わせるだけでは利益がブレやすくなります。

そこで重要になるのが、メニューごとの原価(材料+消耗品+目安の手間)を把握することです。

原価を押さえた上で価格を設計すれば、売上が増えるほど利益も積み上がる状態を作れます。ここでは、原価から逆算するシンプルな考え方を整理します。

結論:美容室の価格は「メニューごとの原価(材料・消耗品・施術に必要なコスト感)を把握し、最低でも原価を回収した上で利益が残る水準」に設計するのが基本です。
ステップ やること チェック項目(例) 価格設定への落とし込み
① 原価を洗い出す 材料・消耗品など、施術ごとにかかるコストを「メニュー単位」で見える化します。 カラー剤/ブリーチ剤/パーマ液/トリートメント剤/ケア剤/手袋・ペーパー類 など 「材料費が重いメニュー」は相場合わせだと利益が薄くなりやすいので、必ず原価を基準に補正します。
② 原価率の目安を決める 原価が売上に対してどのくらいになるか(原価率)を目安として持ちます。 原価率=原価÷価格(%)/メニュー別に高い・低いを把握 「原価率が高すぎるメニュー」は、価格の見直し・工程の整理・薬剤設計の見直し対象になります。
③ 施術時間もコストとして扱う 同じ材料費でも、時間が長いメニューほど「機会損失」が大きいと捉えます。 目安の施術時間/1日対応できる人数/ブリーチ・縮毛矯正などの長時間メニュー 「時間が伸びるメニュー」は、回数・長さ・工程で段階料金にして利益が残る設計にします。
④ 最低ラインの価格を決める 原価を回収し、利益が残る「これ未満はやらない」最低価格を決めます。 材料費/ロング料金/追加工程(ケア剤・前処理・後処理)/手間が増える条件 最低ラインを作ると、値下げ競争に巻き込まれず、メニューのブレも小さくなります。
注意:原価だけで価格を決めると「安すぎる価格」になりがちです。
原価は最低ラインを作るための基準であり、最終的には固定費利益率(手元に残す額)も踏まえて調整するのが正解です。

利益率から逆算する美容室の価格設計

利益率から価格を逆算すると、価格設定が「感覚」ではなく「数字」で決まるようになります。

売上があっても利益が残らない原因の多くは、利益率が低すぎる設計にあります。美容室は固定費が毎月かかるため、一定の利益率を確保できないと経営が不安定になります。

先に「手元に残したい利益」を決めておくことで、必要な客単価や価格の目安が見えてきます。

ここでは、利益率から逆算するシンプルな考え方を整理します。

結論:美容室の価格は「目標売上」ではなく「目標利益(利益率)」から逆算すると、売上が増えるほどちゃんとお金が残る設計になります。
ステップ やること 見る数字(例) 価格設計への落とし込み
① 目標利益を決める 「月にいくら残したいか」を先に決めて、利益のゴールを固定します。 生活費+貯蓄+投資+余裕資金(例:月30万円) 「残したい金額」が決まると、必要な利益率・客単価を逆算できます。
② 固定費を把握する 固定費を把握して「最低限必要な売上ライン」を見える化します。 家賃/光熱費/広告費/人件費/リース/ローン など 固定費が高いほど、安売りは危険で利益率の下限が上がります。
③ 必要な売上を逆算する 固定費+目標利益を足して「最低限の必要売上」を出します。 必要売上=固定費+目標利益(例:70万+30万=100万) まず「売上の最低ライン」を作ると、価格の迷いが減ります。
④ 客単価(価格)を逆算する 想定客数から客単価を逆算し、メニュー価格の土台を作ります。 客単価=必要売上÷月の来店数(例:100万÷120人=約8,300円) 「客単価の目標」が決まると、カット価格・セット比率などが設計しやすくなります。
逆算の計算式(超シンプル):
①必要売上 = 固定費 + 目標利益
②目標客単価 = 必要売上 ÷ 月の来店数(=1日の客数×営業日)
→ この目標客単価を達成できるように、カット価格・セットメニュー・追加メニューを設計します。
注意:客数を理想で置くと逆算が崩れます。
現実的な客数(施術時間・体力・予約枠)で計算し、足りない場合は単価アップ(メニュー設計)で調整するのが安全です。

売り上げを伸ばすための価格設定の考え方

売り上げを伸ばすための価格設定の考え方

売り上げを伸ばしたいと考えたとき、まず「客数を増やそう」と思う方は多いかもしれません。しかし、美容室の売り上げは客数×客単価で決まるため、客数だけに頼った戦略には限界があります。

特に一人美容室や少人数サロンでは、1日に対応できる人数に上限があります。そのため、価格設定の工夫によって客単価を上げることが、無理なく売り上げを伸ばす近道になります。

重要なのは、単純な値上げではなく、「価値に見合った価格設計」をすることです。価格とメニュー構成を見直すことで、同じ客数でも売り上げは大きく変わります。

ここでは、無理な安売りに頼らず、安定的に売り上げを伸ばすための価格設定の考え方を整理していきます。

客単価を上げるメニュー設計のコツ

客単価を上げるために重要なのは、単純に価格を上げることではなく、自然に単価が上がるメニュー構成を作ることです。お客様が「それならお願いしよう」と思える設計になっていれば、無理なく売り上げは伸びていきます。

まず効果的なのが、セットメニューの設計です。カット+カラー+トリートメントなど、相性の良い施術をあらかじめ組み合わせておくことで、単品注文よりも客単価が上がります。お客様にとっても「何を追加すればいいか」を迷わずに済むため、提案のハードルが下がります。

次に有効なのが、松竹梅の段階メニューです。トリートメントやヘッドスパを3段階に分けることで、最安値を選ぶ人だけでなく、中間価格や上位メニューを選ぶ人も一定数生まれます。選択肢を作ることが、平均単価アップにつながります。

また、時間や工程に応じた価格設計も大切です。ブリーチや縮毛矯正のように施術時間が長いメニューは、回数や髪の長さで段階的に料金を設定することで、負担に見合った価格になります。

客単価アップの本質は、「追加してもらう」ではなく「自然に選ばれる」設計を作ること。価格そのものを変えなくても、メニュー構成次第で売り上げは大きく変わります。

価格とリピート率の関係

価格は、新規集客だけでなくリピート率にも大きく影響します。

安ければ通い続けてもらえると思われがちですが、実際には価格と満足度のバランスが取れていなければ、リピートにはつながりません。

価格が安すぎる場合、「とりあえず一度行ってみよう」というお客様は増える一方で、価格だけを基準に比較する層が集まりやすくなります。その結果、少しでも安い店があれば簡単に乗り換えられてしまい、リピート率が安定しないことがあります。

反対に、価格に対してサービスや仕上がりの価値が明確であれば、「ここだからお願いしたい」という理由が生まれます。適正価格で提供し、期待を上回る体験を作ることができれば、価格はリピートの障壁ではなくなります。

重要なのは、「安いから通う」ではなく、「価格に納得して通う」状態を作ることです。価格と提供価値のバランスが取れている美容室ほど、リピート率は安定し、結果として売り上げも積み上がっていきます。

美容室の価格設定でよくある失敗例

美容室の価格設定でよくある失敗例

価格設定は一度決めると大きく変えにくいため、最初の判断がその後の経営を左右します。

実際に売り上げが伸び悩んでいる美容室の多くは、技術や集客以前に「価格設計」でつまずいているケースが少なくありません。

美容室の価格設定でよくある失敗例
価格は一度決めると変えにくい分、最初の設計ミスが「忙しいのに儲からない」状態につながりやすくなります。
① 相場に合わせただけで決めてしまう
周辺店と同じ価格にして安心するが、自店の家賃・広告費・客層に合わず利益が残らない。
② 安さで集客しようとしてしまう
価格だけで比較されやすくなり、リピートが安定せず、値下げ競争から抜け出せなくなる。
③ 原価(材料費)を見ずにメニューを作る
カラー・ブリーチ・縮毛矯正など原価が高いメニューほど、相場合わせだと利益が薄くなりやすい。
④ 固定費を回収できない価格になっている
家賃・光熱費・広告費・人件費を前提にしていないため、売上があっても手元に残らない。
⑤ 施術時間(手間)を価格に反映できていない
時間が伸びやすいメニューを一律価格にしてしまい、予約枠を圧迫して売上効率が落ちる。
⑥ ロング料金・回数料金の設計が曖昧
髪の長さやブリーチ回数で負担が変わるのに料金が一定で、オペレーション負荷だけ増えてしまう。
⑦ 単品メニュー中心で客単価が上がらない
セット設計や松竹梅がないため、追加提案がしづらく、客単価が伸びずに頭打ちになる。
⑧ 値上げの理由(価値)が言語化できていない
価格の根拠が伝わらず、値上げのタイミングで離脱が増える/スタッフも提案しにくい。
ポイント:価格設定の失敗は「安い・高い」よりも、原価・固定費・施術時間の設計不足で起きやすいです。

開業前・個人美容室が意識すべき価格設定のポイント

開業前・個人美容室が意識すべき価格設定のポイント

開業前や個人美容室の場合、価格設定は特に慎重に考える必要があります。

大手サロンと同じような価格にするのか、あえて安くするのか迷う方も多いですが、重要なのは「自分の働き方と売り上げ設計に合っているかどうか」です。一人で営業する場合、1日に担当できる人数には限界があります。だからこそ、客数ではなく客単価と利益率を意識した価格設計が経営の安定につながります。

開業前・個人美容室が意識すべき価格設定のポイント
① 客数には上限があることを前提にする
一人で対応できる人数は限られています。価格を下げて客数を増やす戦略は、体力的にも時間的にも持続しにくい設計になります。
② 最低限必要な売上を先に決める
家賃や生活費を含めた「必要売上」を逆算し、その達成に必要な客単価を基準に価格を設計します。
③ 安さではなく価値で選ばれる設計にする
開業初期に安売りをすると、その価格が基準になってしまいます。提供価値を明確にし、適正価格でスタートすることが長期的には安定します。
④ 将来の値上げを想定しておく
材料費や光熱費は上がる可能性があります。最初から余白を持った価格にしておくことで、後から無理な値上げをせずに済みます。
結論:開業前・個人美容室の価格設定は「安く始める」よりも、「無理なく続けられる設計にする」ことが成功のポイントです。

美容室の価格に関するよくある質問

Q1. 美容室の価格は相場より安くした方が集客できますか?
必ずしもそうとは限りません。価格だけで選ぶお客様は他店に流れやすく、リピートが安定しにくい傾向があります。相場より安くするよりも、価格に見合った価値を明確に伝えることの方が長期的には重要です。
Q2. 一人美容室の理想的な客単価はいくらですか?
客単価は固定費や目標利益によって変わりますが、6,000〜10,000円程度を目安に設計するケースが多いです。重要なのは、1日に対応できる人数から逆算して必要売上を満たせる単価にすることです。
Q3. 開業時は価格を低めに設定した方がいいですか?
開業初期に安く設定すると、その価格が基準になり後から値上げしづらくなります。無理なく続けられる価格を最初から設定する方が、長期的には安定しやすいです。
Q4. 値上げするとお客様は離れてしまいますか?
適正な理由があり、事前に丁寧な説明をすれば、大きな離脱につながらないケースも多いです。むしろ価格と価値のバランスが整うことで、満足度が安定する場合もあります。
Q5. 原価率はどのくらいを目安にすればいいですか?
メニューによって異なりますが、原価率が高すぎると利益が残りにくくなります。材料費だけでなく施術時間も含めて、利益が確保できる価格になっているかを確認することが大切です。

まとめ

美容室の価格は、相場に合わせるだけでは正解になりません。

本当に大切なのは、原価・固定費・利益率を踏まえたうえで、売り上げから逆算して設計することです。

売り上げは「客数×客単価」で決まりますが、客数には限界があります。だからこそ、無理な値下げで忙しさを増やすのではなく、客単価とメニュー構成を工夫することが、安定経営への近道になります。

また、価格は単なる数字ではなく、提供する価値を表すものです。価格に見合った技術やサービスを整え、理由をきちんと伝えることができれば、適正価格でもリピート率は安定します。

美容室の価格設定は「いくらなら来てもらえるか」ではなく、「どんな経営をしたいか」「どれくらいの利益を残したいか」から逆算することが成功のポイントです。

価格は一度決めたら終わりではありません。定期的に見直しながら、売り上げと利益のバランスを整えていきましょう。