【保存版】美容室を開業する前に知っておくべき保健所への申請・届出のすべて

【保存版】美容室を開業する前に知っておくべき保健所への申請・届出のすべて

 

美容室を開業する際には、保健所への届出と確認が必要不可欠です。

これは「美容師法」に基づく法的な手続きであり、保健所の検査を受けて「美容所検査確認済証」が交付されてはじめて、正式に美容所として営業を開始できます。

とはいえ、初めての開業では「どんな書類が必要なの?」「保健所の検査って何を見られるの?」「いつ届出を出せばいいの?」
と疑問や不安を感じる方も多いはずです。

本記事では、美容室を開業する前に知っておくべき保健所への申請・届出の流れを、法律に基づいて解説します。

開業準備をスムーズに進めたい方や、これから初めて美容室を立ち上げる方は、ぜひ最後まで参考にしてください。

美容室の開業にはなぜ保健所の確認が必要なのか

美容室の開業にはなぜ保健所の確認が必要なのか

美容室を開業する際には、保健所への届出と確認が欠かせません。
それは、美容室が「美容師法」によって定められた公衆衛生を守る施設として扱われているためです。

髪を切る・洗うという行為は、人の身体に直接触れる業務であり、衛生管理が不十分だと感染症や皮膚トラブルの原因になるおそれがあります。

そのため、開業時には保健所が構造設備や衛生環境を確認し、法律で定められた基準を満たしているかどうかを審査します。

ここでは、なぜ美容室の開業に保健所の確認が必要なのか、その背景を整理して解説します。

「美容所」としての定義と法律上の位置づけ

美容室は、法律上「美容所(びようじょ)」と呼ばれます。

この「美容所」で美容の業を行うためには、国家資格である美容師免許を持ち、さらに保健所による確認を受けた施設でなければなりません。

(無免許営業の禁止)
美容師法 第六条
美容師でなければ、美容を業としてはならない。

美容師法

この条文が示す通り、美容師でない者が美容を業として行うことは禁止されています。
さらに、美容師が業務を行う場合にも、「美容師法第11条」に基づいて保健所へ届出を行い、検査確認済みの施設(美容所)で営業する必要があります。

つまり、資格だけでなく衛生管理が整った環境であることも、法律上の必須条件です。自宅の一部を使う場合でも、営業スペースが美容所の構造設備基準を満たしていなければ営業は認められません。

このように美容室(美容所)は、公衆衛生を守るための法的に定められた施設として位置づけられており、開業時には保健所による構造設備の確認や衛生基準の遵守が義務づけられています。

美容師法・条例による開設規制の概要

美容室の開業は、「美容師法」および「美容師法施行規則」に基づいて行われます。そのうえで、構造設備や衛生基準の細部については、各自治体の条例によって具体的に定められています。

つまり、全国どこでも同じルールが適用されるわけではなく、地域によって床面積や換気設備、給排水設備の要件などが異なる場合があります。そのため、開業する地域を管轄する保健所に事前に確認することがとても重要です。

また、美容所を開設する際には、保健所に「美容所開設届」を提出し、構造設備が法律・条例に基づく基準を満たしているかどうかの現地確認(検査)を受ける必要があります保健所の検査で基準を満たすと「美容所検査確認済証」が交付されます。これにより、届出済みの美容所として営業を開始できます。

このように、美容室の開設は「国の法律(美容師法)」と「自治体の条例」の両方に基づいて行われるため、開業準備の段階で地域ごとの保健所への相談を早めに行うことが、スムーズな開業への第一歩となります。

保健所への申請・届出の流れ

保健所への申請・届出の流れ

美容師法や各自治体の条例によって定められた基準を理解したうえで、次に必要となるのが保健所への申請・届出です。

ここでは、申請から営業開始までの具体的な流れと、届出を行う際の注意点をわかりやすく解説します。

美容所開設届の提出手順

美容室を開業する際は、営業開始の10日前までに管轄の保健所へ「美容所開設届」を提出する必要があります。これは、美容師法第11条に基づく義務であり、提出後に保健所が構造設備や衛生環境を確認します。

以下の表では、美容所開設届の提出から営業開始までの流れをわかりやすくまとめています。

ステップ 内容 ポイント
① 保健所への事前相談 開業予定地を管轄する保健所で、美容所開設に関する基準・必要書類を確認します。 地域ごとに設備基準が異なるため、必ず早めに相談を。
② 必要書類の準備 美容所開設届・構造設備の概要書・図面・美容師免許証写しなどを揃えます。 医師の診断書や法人登記簿謄本が必要な場合もあります。
③ 美容所開設届の提出 営業開始の10日前までに、必要書類を保健所へ提出します。 提出日から開業日までのスケジュールに余裕を持つこと。
④ 保健所による現地確認(検査) 設備・衛生環境が法律や条例に適合しているかを保健所職員が確認します。 不備がある場合は再検査となるため、事前チェックが重要。
⑤ 美容所検査確認済証の交付 検査に合格すると「美容所検査確認済証」が交付され、営業が可能になります。 証明書は店舗内の見やすい場所に掲示します。

このように、美容所開設届の提出から営業開始まではいくつかのステップを経る必要があります。とくに、図面の不備や設備基準の相違で再検査になるケースも多いため、開業準備の初期段階から保健所と連携して進めることが大切です。

開業までに必要な期間の目安

美容室の開業準備には、物件探しから内装工事、保健所の確認まで、さまざまな工程が必要です。すべての手続きをスムーズに進めるためには、おおよそ1〜2か月程度を目安にスケジュールを立てておくと安心です。

特に保健所への「美容所開設届」は、営業開始の10日前までに提出しなければならないため、内装工事や設備設置の完了時期を逆算して計画を立てることが大切です。

📅 美容室開業までのスケジュール目安

時期の目安 主な内容 ポイント
1〜2か月前 物件探し・契約、内装業者の選定、設計打ち合わせ 保健所基準を満たす内装設計かを確認。事前相談が◎
3〜4週間前 内装工事着工・設備設置・備品発注 給排水・照明・シャンプー台など構造設備を整える。
2週間前 美容所開設届の提出・必要書類の準備 営業開始の10日前までに必ず提出!
1週間前 保健所による現地検査・不備修正 不備がある場合は再検査になるため早めの調整を。
開業日 美容所検査確認済証の交付 → 営業スタート 証明書は店舗内の見やすい場所に掲示。

地域や保健所の混雑状況、工事スケジュールによって期間は前後しますが、最低でも1か月は準備期間を確保しておくと安心です。特に繁忙期(年度末・年度初め)は検査予約が埋まりやすいため、早めのスケジュール調整を心がけましょう。

美容室開業に必要な書類一覧

美容室開業に必要な書類一覧

美容室を開業する際には、保健所へ提出するための各種書類の準備が欠かせません。これらの書類は、美容師法および各自治体の条例で定められており、施設の構造・衛生面・従業員の資格などを証明するために必要です。

提出書類に不備があると、保健所での確認が遅れたり、立入検査の日程が後ろ倒しになったりする可能性があります。そのため、早い段階で必要書類を把握し、漏れのないよう準備を進めておくことが大切です。

ここでは、美容所開設届を中心に、開業時に求められる主要な書類とその概要をわかりやすくまとめました。

美容所開設届

美容所開設届は、美容室を開業する際に必ず保健所へ提出しなければならない届出書です。美容師法第11条に基づく義務であり、提出しないまま営業を開始すると無届営業となり、法律違反となるおそれがあります。

また、届出の際には、構造設備の概要書(図面)や美容師免許証の写しなどの添付書類が求められます。これらの内容をもとに、保健所が現地検査を行い、衛生面や設備基準を満たしているかを確認します。

📌 美容所開設届 提出のポイント

  • 営業開始の10日前までに提出する
  • 提出先は開業地を管轄する保健所
  • 施設の図面・免許証コピーなど添付書類を忘れずに
  • 法人の場合は登記事項証明書の提出が必要なケースも

美容所開設届は、美容室開業における最初の重要な行政手続きです。書類の内容や添付資料に不備があると検査が遅れることもあるため、早めに保健所へ相談し、正しい手順で準備を進めましょう。

構造設備の概要書(図面)

構造設備の概要書(図面)は、美容所開設届に添付する重要な書類のひとつです。保健所が施設の構造や衛生環境を確認するために使用され、実際の店舗のレイアウト・設備配置・給排水経路などを明示します。

この図面は、美容師法および各自治体の条例に基づく衛生基準を満たしているかを判断するために必要な資料です。正確で見やすいレイアウトを作成することが求められます。

📐 構造設備の概要書に記載すべき主な内容

  • 店舗全体の間取り図(縮尺入り)
  • シャンプー台・カット台・待合スペースなど各エリアの配置
  • 給排水・電気・換気設備の位置と経路
  • 消毒設備・洗濯機・タオル保管棚などの設置場所
  • 従業員専用スペースやトイレの位置

図面は専門業者(内装会社や設計士)に依頼するケースが一般的ですが、自分で作成する場合も、正確な寸法と設備位置を明記することが重要です。

提出後、保健所の担当者が図面をもとに現地確認を行うため、実際の工事内容と図面に相違があると再提出や再検査を求められる場合があります。工事が完了した時点で図面内容が最新の状態になっているかを必ず確認しておきましょう。

💡 提出時のポイント

  • 縮尺・方位(北向き)を必ず記載する
  • 設備の位置や数は実際の工事内容と一致させる
  • A3またはA4サイズで提出(自治体により異なる)
  • 図面は2部提出を求められる場合もあるため事前確認を

構造設備の概要書は、単なる間取り図ではなく衛生基準を確認するための公式資料です。内装業者や設計士と連携しながら、保健所の担当者が見てすぐ理解できる図面を用意することが、スムーズな審査の鍵となります。

美容師免許証の写し

美容師免許証の写しは、美容所開設届に必ず添付しなければならない書類のひとつです。美容師法により、美容師資格を持つ者のみが美容の業を行えると定められており、保健所ではこの免許証の写しをもって資格の有無を確認します。

美容所を開設する際には、開設者本人が美容師である場合は本人の美容師免許証の写しを、従業員を雇用して営業する場合は従業員の美容師免許証の写しも併せて提出します。

また、従業員が2名以上いる場合は、店舗ごとに管理美容師を選任し、「管理美容師資格認定講習修了証の写し」を必ず添付する必要があります。

📌 美容師免許証の写しを提出する際のポイント

  • 免許証の表面・裏面のコピーを提出(変更履歴の確認のため)
  • 提出先は開業地を管轄する保健所
  • 管理美容師を置く場合は修了証の写しも添付
  • コピーはA4サイズで鮮明に印刷(カラー推奨)

免許証の写しは資格確認のための重要書類です。提出忘れやコピーの不鮮明などがあると、保健所での審査が遅れる場合があります。必ず期限前に準備し、他の添付書類とあわせて正しく提出しましょう。

その他必要書類(確認済証の申請など)

美容所開設届・構造設備の概要書・美容師免許証の写し以外にも、保健所や店舗の状況に応じて追加で提出を求められる書類があります。特に「美容所検査確認済証」の交付申請や、法人・外国籍スタッフが関わる場合には、別途書類の提出が必要になることがあります。

📄 主な追加書類の例

  • 医師の診断書
    美容師本人に結核や皮膚疾患がないことを証明するため、「美容師法施行規則」第4条第3号に基づき、保健所から医師の診断書の提出を求められる場合があります。
  • 法人登記事項証明書
    法人名義で開設する場合に必要。法務局で取得できます。
  • 賃貸借契約書の写し
    店舗を賃貸する場合、施設使用権を証明するために提出が求められることがあります。
  • 外国籍スタッフの在留資格証明書
    外国人美容師を雇用する場合、就労可能な在留資格を確認するために提出。

これらの書類は、自治体ごとに提出基準や必要部数が異なるため、事前に管轄保健所へ確認することが大切です。

💡 提出時のチェックポイント

  • 必要書類は地域(保健所)ごとに異なる
  • 法人・外国人スタッフがいる場合は追加書類を確認
  • 医師の診断書は発行から3か月以内が有効期限の目安
  • 書類に不備があると確認済証の交付が遅れる可能性あり

すべての書類が揃い、保健所の確認を経て「美容所検査確認済証」が交付されることで、正式に美容室の営業が可能となります。開業スケジュールを円滑に進めるためにも、書類の準備は早めに着手しましょう。

保健所が定める設備・衛生基準

保健所が定める設備・衛生基準

美容室を開業する際には、保健所が定める構造設備および衛生管理の基準を満たしている必要があります。これらの基準は、美容師法および美容師法施行規則、さらに各自治体の条例によって定められており、感染症の予防と公衆衛生の維持を目的としています。

ここでは、美容室の開業前に確認しておくべき主な設備・衛生基準について、保健所の審査項目に沿ってわかりやすく解説します。

床面積・シャンプー台・待合スペースの基準

美容室を開設する際には、店舗の床面積やシャンプー台、待合スペースの設置基準が保健所の条例によって定められています。これらはお客様が安全・快適に利用できる環境を確保するための重要な項目です。

基準の内容は全国一律ではなく、各自治体(保健所)ごとに条例で定められているため、事前に開業予定地を管轄する保健所に確認することが必要です。以下は一般的な基準の目安です。

📏 一般的な設備基準の目安

  • 床面積: 13平方メートル以上(※地域により12㎡〜15㎡前後の規定あり)
  • シャンプー台: 給湯・排水設備を備え、床や壁が防水仕様であること
  • 待合スペース: 清潔に保たれた椅子やベンチを設置し、作業スペースと分離されていること
  • 壁・床の素材: 掃除が容易で、耐水性のある素材を使用すること

特にシャンプー台の排水・給湯設備、床材の防水性、換気設備の有無は、保健所の現地確認で重点的にチェックされます。また、床面積の計算にはトイレや倉庫スペースを除外する自治体もあるため、面積の算出方法にも注意が必要です。

💡 設計・施工時のチェックポイント

  • 物件選びの段階で床面積が基準を満たすかを確認
  • シャンプー台の設置場所は給排水・電源の確保を考慮
  • 待合スペースはカット・シャンプーエリアと分離して配置
  • 図面(構造設備概要書)にも正確に反映させる

このように、床面積やシャンプー台などの設備は、見た目のデザインだけでなく保健所の衛生基準を満たすかどうかが最優先です。開業前の段階から設計士・施工業者・保健所と連携し、基準に沿った設計を行いましょう。

換気・照明・給排水設備の要件

美容室を開業する際には、店内の換気・照明・給排水設備が保健所の衛生基準を満たしていることが求められます。これらの設備は、お客様と従業員の健康を守り、清潔で快適な施術環境を維持するために欠かせません。

基準の詳細は各自治体の条例で定められていますが、以下は多くの地域で共通している一般的な要件です。

💨 換気設備の要件

  • 十分な換気量を確保できる換気扇や窓を設置する
  • シャンプー台・洗濯機付近には湿気を逃がす換気扇を設置
  • 空調設備は空気の循環を妨げない構造にする

💡 照明設備の要件

  • 作業スペース(カット台付近)には十分な明るさ(概ね100ルクス以上)を確保
  • 照明器具は安全かつ容易に清掃できる構造であること
  • 照明カバーや蛍光灯の破損・汚れがないよう定期的に点検

🚰 給排水設備の要件

  • シャンプー台・洗面台には十分な給湯(40℃前後)が供給できる設備を設置
  • 排水は下水道または適正な排水経路に接続すること
  • 汚水や毛髪が溜まらないよう、排水口にトラップやストレーナーを設置

これらの基準を満たしていない場合、保健所の現地検査で改善を求められることがあります。特に換気不足や排水不良は再検査の原因になりやすいため、設計段階から設備業者・内装業者・保健所と連携して計画を進めましょう。

📌 設備設計時のチェックポイント

  • 湿気のこもりやすい場所には必ず換気扇を設置
  • 照明は均一に明るさを確保し、影ができないよう配置
  • 給排水設備の位置は図面(構造設備概要書)に明記
  • 開業前に実際に水量・温度・排水を確認しておく

衛生管理(消毒設備・タオル保管など)の基準

美容室では、お客様に直接触れる器具やタオル類を清潔に保つため、徹底した衛生管理が求められます。保健所では開業時や定期的な立入検査で、消毒設備・洗濯環境・タオル保管方法が基準を満たしているかを重点的に確認します。

これらの衛生管理基準は「美容師法施行規則」および各自治体の条例で定められており、感染症の防止と公衆衛生の維持を目的としています。

🧴 消毒設備の基準

  • ハサミ・コーム・ブラシなどの器具は使用ごとに消毒する
  • 消毒用エタノール・紫外線消毒器・煮沸消毒器などを備える
  • 消毒液は定期的に交換し、清潔な容器に保管する
  • 刃物類は使用後に毛くずを除去し、消毒液に一定時間浸す

🧺 タオル・リネン類の保管基準

  • 使用済みタオルは専用容器(フタ付き)に分別して保管
  • 洗濯後のタオルは清潔な棚やケースに収納し、床に直接置かない
  • 洗濯機は衛生的な場所に設置し、定期的に清掃する
  • タオル保管棚は湿気を避け、換気の良い場所に配置

🧽 清掃・衛生管理のポイント

  • 床・作業台・椅子などは毎日清掃し、毛髪や薬剤残留を除去
  • 廃棄物は密閉容器に入れ、衛生的に処理する
  • 手指消毒用アルコールを設置し、スタッフの衛生意識を徹底
  • ゴミ箱や排水口の清掃も日次ルーティンとして記録を残す

衛生管理は一度整えれば終わりではなく、日々の清掃・消毒・記録の積み重ねが求められます。
保健所による定期的な立入検査では、消毒液の管理状況や保管スペースの清潔度などが確認されます。常に基準を維持する意識が大切です。

💡 日常運用でのチェックポイント

  • 使用器具ごとに消毒手順を明文化(マニュアル化)
  • 洗濯・清掃の実施日を記録に残す
  • タオル棚・消毒器周辺の埃や毛髪を毎日点検
  • 保健所検査に備え、消毒液の種類・濃度を把握しておく

美容室開業前の検査でチェックされるポイント

美容室開業前の検査でチェックされるポイント

美容所開設届を提出すると、保健所の職員による開業前の現地検査(構造設備確認)が行われます。この検査では、図面どおりに施工されているか、衛生基準を満たしているかを細かく確認します。

検査の目的は、美容師法および各自治体条例で定められた公衆衛生の確保にあります。
以下のポイントを事前にチェックしておくことで、再検査になるリスクを減らし、スムーズに「美容所検査確認済証」を取得できます。

🔍 開業前検査の主なチェックポイント

  • 提出した図面(構造設備概要書)と実際の店舗レイアウトが一致しているか
  • 床面積・シャンプー台・待合スペースが保健所基準を満たしているか
  • 給湯・排水・換気・照明などの設備が正常に機能しているか
  • 消毒設備・洗濯機・タオル保管棚が清潔で、適切な位置に設置されているか
  • 使用済みタオルや廃棄物の分別・保管方法が衛生的か
  • トイレ・手洗い場が独立しており、清潔に保たれているか
  • 店舗全体に十分な換気・明るさが確保されているか

保健所の職員は店舗全体を目視で確認し、必要に応じて設備の動作確認(給排水の流れや照明の明るさなど)も行います。不備や不足が見つかった場合は、後日再検査が必要となるため、事前のセルフチェックが重要です。

💡 再検査を防ぐための事前確認ポイント

  • 工事完了後、図面との相違がないかを確認
  • シャンプー台・照明・換気扇などすべての設備を実際に稼働してチェック
  • 消毒液や洗浄用具を所定の位置に配置しておく
  • 洗濯機・給湯器・排水口の動作確認を事前に実施
  • 店舗内の清掃を徹底し、毛髪や埃が残っていない状態で検査に臨む

これらを事前に準備しておけば、検査は概ね30分〜1時間ほどで完了します。

美容室開業で注意すべきポイント

美容室開業で注意すべきポイント

美容室の開業では、保健所への手続きや設備基準を満たすことはもちろん、物件選び・スケジュール管理・設計段階での確認など、さまざまな点に注意が必要です。
これらを見落とすと、開業スケジュールが遅れたり、思わぬコストが発生することもあります。

以下では、実際に多くの開業者がつまずきやすいポイントを整理しました。

⚠️ 開業時に注意すべき主なポイント

  • ① 保健所ごとに基準や必要書類が異なる
    → 全国一律ではなく、地域の条例によって細部の規定が異なるため、必ず管轄保健所へ事前相談を行う。
  • ② 物件契約の前に設備基準を確認する
    → 契約後に「床面積が基準に満たない」「給排水設備が足りない」などの問題が発覚すると、改装費が増大する恐れがある。
  • ③ スケジュールに余裕を持って計画する
    → 美容所開設届は営業開始の10日前までに提出が必要。工事遅延や再検査を考慮し、1〜2か月前から準備を始める。
  • ④ 設計・内装段階で保健所基準を反映する
    → シャンプー台・タオル保管棚・換気設備などは「完成してからでは修正が難しい」ため、設計段階で確認する。
  • ⑤ 書類や図面の不備に注意
    → 書類の記入漏れや図面の相違は審査が遅れる原因に。提出前にダブルチェックを。

これらのポイントを意識して準備を進めることで、開業後のトラブルを大幅に減らすことができます。特に保健所への事前相談は最も重要です。早い段階で担当者とやり取りを行い、疑問点を解消しておくことで、スムーズな開業につながります。

💡 開業をスムーズに進めるためのアドバイス

  • 物件契約前に図面を保健所に持参して相談する
  • 開業準備チェックリストを作成し、進捗を可視化する
  • 設備業者・内装会社・行政との連携スケジュールを明確にする
  • 開業後も衛生管理や消毒体制を継続的に見直す

美容室の開業は、法律・設備・設計のすべてが密接に関係します。ひとつずつ確実に準備を進めることで、安心してオープン日を迎えられるでしょう。

よくある質問(FAQ)

美容室を開業する際、保健所への手続きや設備基準についてよく寄せられる質問をまとめました。初めて開業する方は、以下の内容を確認しておくとスムーズに準備を進められます。

❓ Q1. 美容所開設届はいつまでに提出すればいいですか?

営業開始日の10日前までに、開業予定地を管轄する保健所へ提出する必要があります。提出後に保健所による現地検査が行われ、基準を満たしていれば「美容所検査確認済証」が交付されます。

❓ Q2. 自宅の一部を使って美容室を開業できますか?

可能です。ただし、自宅の一部を美容室として使用する場合でも、保健所の構造設備基準を満たす必要があります。生活スペースと施術スペースをしっかり分離し、換気や給排水設備を整えることが求められます。

❓ Q3. 美容所検査確認済証の交付にはどのくらい時間がかかりますか?

保健所の検査が問題なく終了すれば、通常は1〜2週間程度で交付されます。ただし、繁忙期(年度末・年度初め)や不備がある場合は、交付までに時間がかかることがあります。

❓ Q4. 開設届を提出した後に設備を変更したい場合はどうすればいいですか?

シャンプー台の位置変更や内装の一部改装など、構造設備に関わる変更を行う場合は、変更後に再度保健所への届出や確認が必要です。無断で変更すると条例違反となる可能性があるため注意してください。

❓ Q5. 美容師免許を持っていない家族が手伝うことはできますか?

カットやシャンプーなどの美容行為は美容師免許を持つ人のみが行えます。ただし、受付や掃除、事務などの補助業務であれば問題ありません。

これらの内容はあくまで一般的な基準です。実際の運用や必要書類は地域によって異なるため、必ず開業予定地の保健所に確認を行いましょう。

まとめ

美容室を開業するには、保健所への届出と確認が欠かせません。
美容師法に基づく構造設備の基準や衛生管理のルールは、お客様の安全と公衆衛生を守るために定められています。

本記事で紹介したように、美容所開設届の提出から現地検査、確認済証の交付までには、細かな手続きや準備が必要です。
特に、図面の正確さ・設備の衛生基準・消毒体制などは、開業後の信頼にも直結します。

✅ スムーズな開業のためのポイント

  • 開業予定地の保健所に早めに相談する
  • 図面・設備・衛生管理を条例基準に合わせて設計する
  • 開業スケジュールは1〜2か月前から逆算して準備
  • 書類や添付資料の不備をなくすためにダブルチェック

開業準備は手間がかかるように感じるかもしれませんが、保健所や専門業者に相談しながら進めればスムーズに進行できます。

適切な準備と衛生環境を整えて、安心してお客様を迎えられる美容室をスタートさせましょう。