美容室の物件の原状回復・スケルトン返し費用はいくら?退去時の試算

物件契約時にはあまり意識されない「原状回復費用」ですが、退去時には坪単価20〜40万円という大きな出費として跳ね返ってきます。10坪の物件でも200〜400万円、20坪なら400〜800万円という規模になり、契約前に想定しておかないと退去時の資金繰りが厳しくなります。また、契約書の原状回復条項の記載次第で費用は大きく変わるため、物件契約時から意識すべき項目です。

本記事では、美容室物件の原状回復・スケルトン返し費用を、坪単価の相場・坪数別の試算・契約書の確認ポイント・費用を抑える造作譲渡の活用まで、年間108店舗の支援実績から実務目線でお伝えします。物件選定時の判断材料としてお使いください。

美容室の原状回復・スケルトン返しの費用相場は?

ポイントは3個:
① 坪単価20〜40万円が目安
② 10坪で200〜400万円
③ 内装工事費より安め

美容室物件の原状回復・スケルトン返し費用の相場は、坪単価20〜40万円が目安です。10坪の物件なら200〜400万円、15坪なら300〜600万円、20坪なら400〜800万円が退去時の費用として発生します。同じ坪数の内装工事費(坪単価70〜80万円前後)と比較すると安めですが、退去時に一括で必要になる金額としては大きな負担です。年間108店舗の開業をサポートしてきた経験から言えるのは、原状回復費を事前に想定していたサロンほど退去時の資金繰りに困らない傾向があるという点で、開業前から意識すべき費用項目です。

原状回復費の基本

原状回復は「入居時の状態に戻す工事」、スケルトン返しは「内装をすべて撤去して躯体状態に戻す工事」です。事業用テナントではスケルトン返しが求められることが多く、費用も高めになります。

原状回復とスケルトン返しはどう違うか?

ポイントは3個:
① 原状回復は入居時に戻す
② スケルトンは躯体状態に戻す
③ 契約書の記載で確定

「原状回復」と「スケルトン返し」は、退去時の工事内容が異なります。原状回復は「入居時の状態に戻す」ことで、居抜き物件で入居した場合は入居時の内装状態に戻せば済みます。スケルトン返しは「内装・造作物をすべて撤去して、コンクリート打ちっぱなしの躯体状態に戻す」ことで、より大がかりな工事になります。事業用テナントの契約書には「スケルトン戻し」と明記されているケースが多く、この場合は入居時の状態に関係なく躯体状態への復元が求められます。多くのケースで共通しているのは、契約書の記載を確認せず退去時に「そこまでの工事とは思わなかった」と驚くパターンで、契約前の細部確認が重要です。

坪数別の原状回復費の目安は?

ポイントは3個:
① 坪数に比例して増加
② 7坪で140〜280万円
③ 20坪で400〜800万円

坪数別の原状回復費目安は、坪単価に比例して増加します。7坪で140〜280万円、10坪で200〜400万円、15坪で300〜600万円、20坪で400〜800万円が目安です。設備の複雑さ(シャンプー台の給排水配管の撤去など)で追加費用が発生するケースがあり、シャンプー台や特殊配管を多く設置していた物件は上限に近い金額になる傾向があります。支援の中で気づいたのは、内装をシンプルに造り込んでいたサロンほど、退去時の原状回復費が抑えられる傾向があるという点で、開業時の内装計画が退去時の費用にも影響します。

坪数別原状回復費試算

坪数 最小(坪20万) 最大(坪40万)
7坪 140万円 280万円
10坪 200万円 400万円
15坪 300万円 600万円
20坪 400万円 800万円

通常損耗と特別損耗の負担は?

ポイントは3個:
① 通常損耗は本来貸主負担
② 事業用は借主負担が多い
③ 契約書の特約で決まる

住居用賃貸の場合、通常損耗(経年劣化や日常使用による自然な劣化)は本来貸主負担、特別損耗(借主の過失による損傷)は借主負担というのが民法の基本原則です。しかし事業用テナントでは、契約書の特約により通常損耗まで借主負担とするケースが多く、実質的にすべての損耗が借主負担となる可能性があります。多くのケースで共通しているのは、事業用契約書ではスケルトン戻し特約が含まれるパターンで、退去時に大きな費用負担となります。契約書の特約条項を丁寧に確認することで、退去時のコスト予想が可能です。

契約書で確認すべき原状回復条項は?

ポイントは3個:
① スケルトン戻しの有無
② 業者指定の有無
③ 通常損耗の負担範囲

契約書で確認すべき原状回復条項は、スケルトン戻しの有無・業者指定の有無・通常損耗の負担範囲の3つに集約されます。「スケルトン戻し」と明記されていれば躯体状態への完全復元が必要で、費用は大きくなります。「原状回復業者は貸主指定」となっていると業者選択の自由がなく、費用競争が働かない可能性があります。「通常損耗も借主負担」といった特約があれば、日常的な劣化まで借主負担となります。年間108店舗の開業をサポートしてきた経験から言えるのは、契約前に原状回復条項を丁寧に確認したサロンほど、退去時の想定外の費用に驚くケースが少ない傾向があるという点です。

原状回復工事の内容は何が含まれるか?

ポイントは3個:
① 内装・造作物の撤去
② 給排水・電気配線の復元
③ 床・壁・天井の解体

原状回復工事に含まれる主な項目は、内装・造作物の撤去(シャンプー台・セット椅子・鏡台などの什器撤去)、給排水・電気配線の復元(美容室特有の配管や配線の解体と原状復帰)、床・壁・天井の解体(貼っていたクロスやフローリング、下地の撤去)などです。什器類は自分で撤去する必要があり、産業廃棄物として処分するには別途費用がかかります。空調設備や排気ダクトの撤去も含まれるケースがあります。店舗内装デザインとの連携があれば、退去時の原状回復まで一括で相談できます。

業者選定はどうするか?

ポイントは3個:
① 貸主指定か自由選択か
② 店舗解体の実績確認
③ 事前見積もりの取得

原状回復業者の選定は、貸主指定か自由選択かで大きく変わります。契約書に業者指定条項がある場合、費用競争が働かないため相場より高くなるケースがあります。自由選択の場合、店舗解体の施工実績があり信頼できる業者を選びます。退去予定日の3〜6ヶ月前から業者に現地確認を依頼し、見積もりを取得しておくのが基本方針です。支援の中で気づいたのは、退去直前になって焦って業者を選定するサロンほど、費用が高くなる傾向があるという点で、早期の準備が費用抑制につながります。

費用を抑える方法はあるか?

ポイントは3個:
① 早期の業者選定
② 什器の売却・再利用
③ 造作譲渡の交渉

原状回復費を抑える方法は、早期の業者選定・什器の売却/再利用・造作譲渡の交渉の3つが現実的です。退去の3〜6ヶ月前から業者を選定し、複数の施工実績確認で費用感を比較します。什器(シャンプー台・セット椅子・鏡台)は中古市場に売却すれば処分費が回収でき、次の物件で再利用も可能です。造作譲渡は次入居者に内装をそのまま譲渡する仕組みで、後述するように原状回復費を大幅に減らせる可能性があります。理美容室の不動産屋との連携で、造作譲渡の相手探しもサポートしてもらえます。

造作譲渡で原状回復を回避できるか?

ポイントは3個:
① 次入居者に内装を譲渡
② 譲渡料が得られる可能性
③ 貸主の承諾が必要

造作譲渡は、退去時に内装や什器を次入居者にそのまま譲渡する仕組みで、原状回復費を大幅に減らせる有効な方法です。次入居者が同業種(美容室・理容室)であれば、内装や設備をそのまま活用してもらえるため、双方にメリットがあります。譲渡料として一部の内装費が回収できるケースもあります。ただし造作譲渡は貸主の承諾が必要で、貸主側の意向次第で認められないケースもあるため、契約書での確認と早期交渉が重要です。多くのケースで共通しているのは、造作譲渡で退去時のコスト負担を大きく減らせるパターンで、事前の準備が奏功します。

退去時のスケジュールと注意点は?

ポイントは3個:
① 解約予告は3〜6ヶ月前
② 工事期間は2〜4週間
③ 期日厳守で違約金回避

退去時のスケジュールは、解約予告→業者選定・見積もり→工事着工→工事完了と貸主への引き渡し、という流れで進めます。事業用テナントの解約予告期間は3〜6ヶ月前が一般的で、契約書で確認します。原状回復工事は坪数にもよりますが2〜4週間程度かかるため、退去期日から逆算して着工日を決めます。工事完了が期日に間に合わないと違約金が発生するケースがあるため、期日厳守が基本方針です。年間108店舗の開業をサポートしてきた経験から言えるのは、退去スケジュールを早めに組んだサロンほど余裕を持って対応できる傾向があるという点で、時間管理が費用抑制にも直結します。

  1. STEP 1:解約予告(3〜6ヶ月前)
    契約書に基づき書面で解約予告を提出します。
  2. STEP 2:業者選定・見積もり
    複数業者の施工実績を確認し見積もりを取得します。
  3. STEP 3:造作譲渡の検討
    次入居者への造作譲渡が可能か貸主と相談します。
  4. STEP 4:工事着工と什器処分
    工事開始と並行して什器類の売却・処分を進めます。
  5. STEP 5:工事完了と引き渡し
    貸主による確認を受けて鍵を返却します。

美容室の原状回復に関するよくある質問は?

ポイントは2個:
① 契約前の条項確認が重要
② 造作譲渡で費用抑制可能
Q1. 敷金で原状回復費は全額まかなえますか?
A. 物件によりますが、敷金6〜12ヶ月分では原状回復費と償却分を差引くと不足するケースが多く見られます。追加負担を想定しておくのが基本です。
Q2. 居抜き物件でも原状回復は必要ですか?
A. 契約書の記載次第です。「入居時の状態に戻す」なら居抜き状態への復元、「スケルトン戻し」なら躯体状態まで戻す必要があります。
Q3. 貸主指定業者は必ず利用しなければならないですか?
A. 契約書に業者指定条項があれば従うのが基本です。ただし交渉で他業者への変更が認められるケースもあり、条件次第です。
Q4. 造作譲渡料はいくらもらえますか?
A. 内装の状態や次入居者との交渉次第です。数十万円〜数百万円で成立するケースがあり、内装工事費の一部を回収できる可能性があります。
Q5. 原状回復費を分割払いできますか?
A. 業者との交渉次第です。工事着手金と完了時払いなど、分割対応してくれる業者もあります。事前に相談します。
Q6. 什器を残したまま退去してよいですか?
A. 契約書の記載次第です。原則は借主が撤去する義務があり、造作譲渡が認められた場合のみ残すことができます。
Q7. 原状回復費は経費計上できますか?
A. 事業関連費用として経費計上できます。税務処理は税理士に相談し、廃業時の経費として処理するのが一般的です。

まとめ|原状回復費の判断で取るべき判断は何か?

  • ● 原状回復・スケルトン返しの費用は坪単価20〜40万円が目安です。
  • ● 10坪で200〜400万円、20坪で400〜800万円の負担が発生します。
  • ● 事業用は通常損耗も借主負担のケースが多く見られます。
  • ● 契約書のスケルトン戻し条項と業者指定を確認します。
  • ● 早期の業者選定と造作譲渡で費用を抑えられます。
  • ● 解約予告は3〜6ヶ月前で退去期日から逆算して進めます。

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