美容室開業の融資を申し込むベストタイミング|物件・内装との順番
QUICK ANSWER ─ この記事が答える問い
美容室開業の融資は、物件や内装との関係でいつ申し込むのがよいのか?
融資は、出店する物件の候補が決まり、物件の申込みをするのとほぼ同時に申し込むのがベストタイミングです。融資の審査では物件の条件や内装の見積もりが根拠になるため、物件が決まる前では審査が進みにくく、物件契約の後では契約金や内装の支払いに入金が間に合わないことがあります。申込みから入金までは日本政策金融公庫で1〜2ヶ月、信用金庫・地方銀行で1ヶ月半〜3ヶ月が平均で、工期は7〜10坪で1ヶ月前後、15〜25坪で1〜2ヶ月が目安です。オープン希望日のおおむね3〜5ヶ月前には物件と融資の申込みを並行して始めるのが基本ですが、良い物件の確保やオープン日を優先して、自己資金で物件を先に契約したり、融資の入金を待たずに内装を契約・着工したりするケースもあります。
※融資内諾前の物件契約、内装の工事着工にはリスクもあります。融資が出ない場合に違約金が発生する場合もあります。
「融資が決まってから物件を探すべきか、物件を決めてから融資を申し込むべきか」──小型店舗での独立開業を目指す美容師の方が、最初に迷うのがこの順番です。順番を誤ると、良い物件を逃したり、家賃だけを払う期間が長引いたりすることがあります。
融資を申し込むベストタイミング、物件・融資・内装の進め方の順番、物件契約と融資の内定の調整、内装の見積もりと支払い、オープン日から逆算したスケジュール、タイミングを誤ったときの問題、在職中の申込みまでを整理します。年間108店舗の開業をサポートしてきた現場の実感を踏まえてお届けします。
美容室開業の融資を申し込むベストタイミングはいつか?
① 物件の申込みとほぼ同時が基本
② オープン希望日の3〜5ヶ月前が目安
③ 自己資金と計画書はその前に準備
融資を申し込むベストタイミングは、出店したい物件の候補が決まり、物件の申込みをするのとほぼ同時です。融資の審査では、どこで、どれくらいの家賃で、いくらの内装をかけて開業するのかが判断の根拠になるため、物件が具体的になった段階で申し込むと審査が進めやすくなります。一方で、物件の貸主は融資の見通しを支払能力の判断材料にするため、両方を並行して進めることが大切です。目安としては、オープン希望日のおおむね3〜5ヶ月前に物件と融資の申込みを始め、自己資金の準備と事業計画書の作成はそれより前に進めておきます。
物件契約や内装の契約・工事着工は融資を待たずに進めることもあるのか?
① 物件を自己資金で先に契約するケースがある
② 内装を融資の入金前に契約・着工するケースもある
③ 融資が減額されても開業できる計画が前提
融資の入金を待ってから物件契約や内装に進むのが基本の流れですが、実際の開業では、融資を待たずに先行して進めるケースも少なくありません。人気の物件を他の申込者に取られないようにしたい、フリーレントの期間内に内装を終えたい、オープン日を決めて集客の準備を始めたい、といった理由から、物件の契約や内装の契約・着工を前倒しで進める方もいます。代表的な2つのケースを整理します。
物件を自己資金で先に契約する
保証金や前家賃などの物件契約金を自己資金で支払い、融資の結果を待たずに物件を確保します。良い物件を逃さないための選択肢です。
内装を融資の入金前に契約・着工する
内装業者と契約し、着手金を自己資金で支払って先に着工します。工期を確保し、家賃だけを払う期間を短くできます。
先行して進めると、物件の確保やオープン日の確定、空家賃の短縮といったメリットがある一方、融資が減額されたり時間がかかったりした場合には、自己資金で支払いを続けなければならないリスクがあります。先行する場合は、融資が希望額どおりにならなくても開業までたどり着ける資金計画になっているかを、事前に確認しておくことが前提です。
先行して進めるときの確認ポイント
先行して支払う契約金や着手金が自己資金の範囲に収まっているか、融資の面談で先行している状況と支払い済みの金額を説明できるか、見積書・契約書・領収書を揃えているか、内装の残金の支払い時期が融資の入金予定に合っているかを確認します。金融機関によっては、融資の申込み前に支払った費用の扱いが異なる場合もあるため、先行する前に金融機関へ相談しておくことが望まれます。
年間108店舗の開業をサポートしてきた経験から言えるのは、先行するかどうかに正解はなく、自己資金の余力とオープン日の優先度に合わせて順番を選ぶことが大切だ、ということです。
※融資内諾前の物件契約、内装の工事着工にはリスクもあります。融資が出ない場合に違約金が発生する場合もあります。
物件・融資・内装はどんな順番で進めるのか?
① 物件と融資は並行して進める
② 内装の見積もりは融資の根拠になる
③ 着工は融資の入金に合わせる
物件・融資・内装は、一つずつ順番に進めるのではなく、重なり合いながら進むのが一般的です。基本的な流れを整理します。
- STEP 1:自己資金と事業計画の準備
自己資金は6〜12ヶ月の積み上げを通帳で示せるようにし、計画書の骨組みをつくります。 - STEP 2:物件探しと内装の概算
候補物件の図面をもとに、内装業者に概算の見積もりを依頼します。 - STEP 3:物件の申込みと融資の申込み
物件の申込みとほぼ同時に、見積書と物件資料を添えて融資を申し込みます。 - STEP 4:融資の内定と物件契約
融資の見通しが立った段階で物件を契約し、引き渡し日とフリーレントを調整します。物件を確保するため、自己資金で先に契約するケースもあります。 - STEP 5:融資の入金と着工
入金に合わせて内装に着手し、保健所の検査を経てオープンします。オープン日を優先して、入金前に内装を契約・着工するケースもあります。
物件が決まる前に融資を申し込めるのか?
① 相談はできるが審査は進みにくい
② 見積もりがないと金額の根拠が弱い
③ 事前相談で必要書類を確認しておく
物件が決まる前でも、金融機関に相談することはできます。ただし、物件の家賃や契約金、内装の見積もりがない段階では、必要な金額の根拠を示せないため、正式な審査は進みにくい傾向があります。物件探しの段階で事前に相談し、必要書類や面談の流れを確認しておき、物件が決まったらすぐ申し込める状態にしておくのが効率的です。
複数の候補物件があるときの進め方
候補が複数ある場合は、最も可能性の高い物件で計画書を作り、別の物件に変わった場合は家賃や見積もりを差し替えて説明します。物件が変わる可能性があることも、面談で正直に伝えておくことが望まれます。
物件契約と融資の内定はどちらが先か?
① 基本は融資の内定後に物件契約
② 貸主が待てる期間には限りがある
③ 自己資金で先に契約するケースもある
基本は、融資の内定が出てから物件を契約する順番です。先に物件を契約すると、融資が減額されたり通らなかったりした場合に、契約金を払ったまま計画を見直さなければならないリスクがあるためです。ただし、人気物件では貸主が長く待ってくれないこともあり、融資の結果を待つ間に他の申込者に決まる場合もあります。そのため実務では、物件契約金を自己資金でまかない、融資を待たずに先に契約するケースもあります。どちらの順番を選ぶ場合も、物件の申込みと融資の申込みをできるだけ同時に行い、審査期間を短く保つことが大切です。
※融資内諾前の物件契約、内装の工事着工にはリスクもあります。融資が出ない場合に違約金が発生する場合もあります。
契約日と賃料発生日は調整できることがある
融資の見通しを伝えたうえで、契約日を少し後ろにずらす、内装期間をフリーレントにするなど、貸主と調整できる場合があります。申込みの段階で融資の状況を正直に伝え、不動産会社を通じて相談することが望まれます。
内装の見積もりと支払いのタイミングはどう合わせるか?
① 融資申込みの時点で見積書を用意
② 着手金の支払い時期を確認する
③ 入金前の発注は自己資金の範囲に
内装の見積書は融資の申込み時点で必要になることが多く、物件が決まったらすぐに内装業者へ依頼するのが効率的です。内装の支払いは、着手時と完成時に分けて求められることが一般的なため、融資の入金時期と照らし合わせておく必要があります。各段階のタイミングを表にまとめます。
| 段階 | 内装で行うこと | 融資との関係 |
|---|---|---|
| 物件の申込み時 | 現地確認と見積もりの依頼 | 見積書を融資の申込みに添付 |
| 融資の審査中 | レイアウトと仕様の確定 | 金額が変われば金融機関に共有 |
| 融資の入金後 | 発注・着手金の支払い・着工 | 入金後の発注が安心。先行する場合は着手金を自己資金で |
| 完成時 | 残金の支払い・保健所の検査 | 領収書を保管し使い道を記録 |
オープン日から逆算するとスケジュールはどうなるか?
① 融資の入金までの期間を先に見込む
② 工期は坪数によって変わる
③ 余裕を持って1ヶ月ほどの予備を取る
7〜10坪の小型店舗を、日本政策金融公庫の融資で開業する場合の逆算スケジュールの例です。信用金庫・地方銀行を利用する場合や、15坪以上で工期が長くなる場合は、さらに前倒しで動き始めることが望まれます。
| オープンまで | やること |
|---|---|
| 6〜12ヶ月前 | 自己資金の積み上げ・事業計画の骨組み |
| 4〜6ヶ月前 | 物件探し・金融機関への事前相談 |
| 3〜5ヶ月前 | 物件の申込み・融資の申込み・内装の見積もり |
| 2〜3ヶ月前 | 融資の面談・内定・物件契約・保健所の事前相談 |
| 1〜2ヶ月前 | 融資の入金・着工(工期1ヶ月前後) |
| オープン直前 | 保健所の検査・確認書の交付 |
在職中と退職後のどちらで申し込むべきか?
① 在職中の申込みは一般的
② 退職予定日を計画に書いておく
③ 退職は融資の見通しが立ってからが安心
創業融資は、開業前の在職中に申し込むのが一般的です。勤務を続けている間は収入があるため生活が安定し、源泉徴収票などで現在の収入も示しやすくなります。事業計画書には退職予定日と開業予定日を明記し、面談でも伝えておきます。退職を先に決めてしまうと、融資の結果や物件の状況によっては収入のない期間が長引くこともあるため、融資と物件の見通しが立ってから退職日を確定させる方が安心です。
面談や内見の日程は休日に合わせて組む
在職中は、融資の面談や物件の内見、内装業者との打ち合わせを休日にまとめて組むと進めやすくなります。窓口が一つにまとまっていると、日程の調整もスムーズです。
※融資内諾前の物件契約、内装の工事着工にはリスクもあります。融資が出ない場合に違約金が発生する場合もあります。
まとめ|融資を申し込むタイミングで押さえるべき点は何か?
- ● 融資は、物件の申込みとほぼ同時に申し込むのがベストタイミングです。
- ● オープン希望日の3〜5ヶ月前に物件と融資の申込みを並行して始めます。
- ● 基本は融資の内定後に物件契約・着工する順番ですが、自己資金で物件を先に契約したり、入金を待たずに内装を契約・着工したりするケースもあります。
- ● 入金までは公庫で1〜2ヶ月、信金・地銀で1ヶ月半〜3ヶ月が平均です。
- ● 在職中に申し込み、融資と物件の見通しが立ってから退職日を決めるのが安心です。
- ● 小型店舗での独立開業では、物件探しを始めた段階で融資の準備も整えておくことが大切です。
※融資内諾前の物件契約、内装の工事着工にはリスクもあります。融資が出ない場合に違約金が発生する場合もあります。
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