美容室開業で複数の金融機関から融資を受けるには?協調融資の仕組み
QUICK ANSWER ─ この記事が答える問い
美容室開業で、複数の金融機関から融資を受けることはできるのか?
できます。融資額が1,000万円を超える場合は、日本政策金融公庫と信用金庫・地方銀行が連携して融資する「協調融資」が基本と考えておくとよいでしょう。公庫だけで1,000万円を超える事例もありますが、物件契約金・内装・什器などの設備資金で1,200万円以上になる場合は、協調融資になるケースが一般的です。たとえば融資1,500万円なら公庫1,000万円+信用金庫・地方銀行500万円、3,000万円なら公庫1,000万円〜1,500万円+残りを信用金庫・地方銀行、という分担が一例です。一方で、手続きが2つになる、入金時期がずれやすい、返済が2本になるといった注意点もあるため、全体のスケジュールと返済計画をあわせて組むことが望まれます。
「公庫だけでは希望額に届かなかった」「地元の信用金庫とも取引を始めておきたい」──小型店舗での独立開業や、少人数・数人での開業を目指す美容師の方から、複数の金融機関を組み合わせる方法についての相談が増えています。
複数の金融機関から融資を受けられるのか、協調融資の仕組み、借り方の種類、メリットと注意点、向いている開業規模、申込みの進め方とスケジュールまでを整理します。年間108店舗の開業をサポートしてきた現場の実感を踏まえてお届けします。
美容室開業で複数の金融機関から融資を受けることはできるのか?
① 複数の金融機関から借りることは可能
② 代表的な方法が協調融資
③ どの金融機関にも借入状況を正直に伝える
美容室開業の資金を、複数の金融機関から借りることは可能です。特に融資額が1,000万円を超える場合は、公庫と民間の金融機関で分担する協調融資が基本になります。開業後の取引を見据えて、地元の金融機関と関係をつくっておけるのも利点です。ただし、複数の金融機関から借りる場合は、それぞれに他の借入や申込みの状況を正直に伝えることが前提です。審査では返済の総額が売上から無理なく払えるかが見られるため、借入先が増えるほど、資金計画全体の整合性が大切になります。
融資額がいくらを超えたら協調融資になるのか?
① 1,000万円を超える場合は協調融資が基本
② 設備資金が1,200万円以上なら協調融資になる
③ 公庫の分担は1,000万円〜1,500万円が目安
融資額が1,000万円を超える場合は、公庫と信用金庫・地方銀行による協調融資を基本に考えるのがよいでしょう。もちろん公庫だけで1,000万円を超える事例もありますが、物件契約金・内装・什器などの設備資金だけで1,200万円以上になる場合は、協調融資になるケースが一般的です。公庫が受け持つ金額は1,000万円〜1,500万円が目安で、残りを信用金庫や地方銀行が分担する形になります。分担の例を表にまとめます。
| 融資額 | 日本政策金融公庫 | 信用金庫・地方銀行 |
|---|---|---|
| 1,000万円まで | 1,000万円まで(公庫単独が基本) | ― |
| 1,500万円 | 1,000万円 | 500万円 |
| 2,000万円 | 1,000万円〜1,500万円 | 500万円〜1,000万円 |
| 3,000万円 | 1,000万円〜1,500万円 | 1,500万円〜2,000万円 |
分担の割合は、金融機関の判断や事業計画の内容、地域によって変わります。表はあくまで一例として、最初の相談の段階で確認しておくことが望まれます。
設備資金が1,200万円を超えるかで判断する
協調融資になるかどうかは、物件契約金・内装・什器の見積もりを合計した設備資金がひとつの目安になります。設備資金だけで1,200万円以上になる場合は、運転資金も合わせると借入額が大きくなるため、早い段階から公庫と民間の金融機関の両方に相談しておくと進めやすくなります。
協調融資とはどんな仕組みなのか?
① 公庫と民間の金融機関が連携して融資する
② 同じ事業計画をもとに情報を共有して審査
③ 融資はそれぞれの金融機関から実行される
協調融資は、日本政策金融公庫と信用金庫・地方銀行などの民間の金融機関が連携し、同じ開業計画に対して融資する仕組みです。一般的な流れを整理します。
- STEP 1:どちらかの金融機関に相談
公庫か民間の金融機関のどちらかに相談し、協調融資を希望することを伝えます。 - STEP 2:金融機関どうしで連携
本人の同意のもとで、事業計画や審査の情報を金融機関どうしで共有します。 - STEP 3:それぞれの審査
各金融機関が自らの基準で審査し、分担する金額を決めます。 - STEP 4:それぞれから融資を実行
契約と入金は金融機関ごとに行われ、返済もそれぞれに行います。
民間の融資は保証協会の保証付きになることが多い
開業前の事業者が信用金庫や地方銀行から借りる場合、信用保証協会の保証を付けて融資を受ける形が多く見られます。その場合は保証協会の審査も加わり、保証料がかかることもあります。条件は金融機関や地域によって異なるため、事前に確認することが望まれます。
複数の金融機関から借りる方法にはどんな種類があるのか?
① 協調融資で連携して借りる
② 公庫と民間に別々に申し込む
③ 開業後に段階的に取引先を増やす
複数の金融機関から借りる方法は、大きく3つに分けられます。それぞれの特徴を表にまとめます。
| 方法 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| 協調融資 | 金融機関どうしが連携し、分担して融資 | 両方の審査に時間がかかる |
| 別々に申込み | 公庫と民間にそれぞれ申し込む | 互いの申込状況を必ず伝える |
| 段階的に増やす | 開業時は1か所、開業後に別の金融機関と取引 | 開業時の調達額は1か所分になる |
複数の金融機関から借りるメリットは何か?
① 必要な資金を確保しやすくなる
② 地元の金融機関と取引を始められる
③ 開業後の追加資金の相談先が増える
複数の金融機関から借りる主なメリットを3つに整理します。
必要な資金を確保しやすい
1か所では希望額に届かない場合でも、2か所で分担することで必要な資金をまかないやすくなる傾向があります。
地元の金融機関と取引を始められる
信用金庫や地方銀行と開業時から取引があると、売上の入金口座や地域の情報など、日常の付き合いにも活かせます。
開業後の相談先が増える
返済実績を積むことで、移転や2店舗目の出店のときに相談できる金融機関が増えます。
複数の金融機関から借りるときの注意点は何か?
① 審査と手続きが2つになる
② 入金時期がずれやすい
③ 返済が2本になり管理が複雑になる
複数の金融機関から借りる場合は、書類の準備や面談がそれぞれに必要になり、手続きの負担が増えます。申込みから入金までは公庫で1〜2ヶ月、信用金庫・地方銀行で1ヶ月半〜3ヶ月が平均で、2つの入金時期がずれると、物件契約金や内装の支払いの計画を組み直す必要が出てきます。全体のスケジュールは、入金が遅い方に合わせて組むのが安全です。また、どちらか一方の審査が通らなかったり減額されたりした場合に、計画全体が成り立つかも事前に考えておくことが望まれます。
返済が2本になることを資金計画に反映する
借入先が2つになると、返済日も返済額も2本になります。据置期間の有無や長さが金融機関ごとに異なる場合もあるため、返済予定表を並べて、毎月の返済の合計が売上から無理なく払える範囲かを確認します。運転資金は、1〜3人前後の店舗なら販管費の3〜6ヶ月分程度に、2本分の返済額も加えて見込んでおくことが大切です。
どんな美容室開業で協調融資が選ばれるのか?
① 融資額1,000万円以下は公庫単独が基本
② 1,000万円を超える開業は協調融資が基本
③ 広めの店舗や2店舗目以降でも選ばれやすい
協調融資を選ぶかどうかは、開業の規模よりも、必要な融資額で判断するのが分かりやすい考え方です。目安を表にまとめます。
| 開業の状況 | 借入先の考え方 |
|---|---|
| 融資額1,000万円以下 | 公庫単独が基本 |
| 融資額1,000万円超 | 公庫+信金・地銀の協調融資が基本 |
| 設備資金が1,200万円以上 | 協調融資になるケースが一般的 |
| 2店舗目以降の出店 | 既存の借入先と新たな金融機関の組み合わせ |
小型店舗での独立開業でも、融資調達は1,000万円〜1,600万円が平均的なため、物件や内装の条件によっては協調融資を検討する場面が少なくありません。年間108店舗の開業をサポートしてきた経験から言えるのは、借入先を増やすこと自体が目的ではなく、必要な資金と返済のしやすさのバランスで決めることが大切だ、ということです。
申込みはどのように進めればよいか?
① 1つの事業計画を両方に使う
② 物件の申込みとあわせて早めに動く
③ 入金が遅い方に合わせて計画を組む
複数の金融機関に申し込む場合も、事業計画は1つにまとめ、どちらの金融機関にも同じ内容で説明できるようにしておきます。資金の使い道と金額の内訳、それぞれの金融機関から借りる予定の金額、返済の合計額を明記しておくと、審査の場で整合性を説明しやすくなります。物件の申込みとほぼ同時に融資の相談を始め、入金が遅い方の金融機関に合わせて物件の契約日や内装の着工時期を調整するのが基本です。
他の申込みや借入は必ず正直に伝える
別の金融機関への申込みや借入を伝えずに審査を受けると、後から分かったときに信用を大きく損ねるおそれがあります。複数に申し込む場合は、それぞれに状況を正直に伝え、計画全体を理解してもらったうえで審査を受けることが望まれます。
まとめ|複数の金融機関からの融資で押さえるべき点は何か?
- ● 融資額が1,000万円を超える場合は、公庫と信金・地銀の協調融資が基本です。
- ● 協調融資は、公庫と信金・地銀が連携して同じ計画に分担して融資する仕組みです。
- ● 融資1,500万円なら公庫1,000万円+信金・地銀500万円、3,000万円なら公庫1,000万〜1,500万円+残りを信金・地銀が一例です。
- ● 手続きが2つになり、入金時期のずれや返済が2本になる点に注意が必要です。
- ● 他の申込みや借入は、どの金融機関にも正直に伝えることが前提です。
- ● 小型店舗での独立開業でも、設備資金が1,200万円以上になる場合は協調融資になるケースが一般的です。
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